百科事典

ケストースと膵癌の腸内細菌

背景

膵管腺癌(PDAC)は予後不良であり、腸内環境の異常が病態に関与する可能性が指摘されています。近年、腸内細菌叢への介入を通じた治療補助法として、プレバイオティクスの有用性が注目されています。本研究では、ケストースがPDAC患者の腸内細菌叢に及ぼす影響を検討しました。

 

結果

PDAC患者において、腸内で増加していた炎症関連菌Escherichia coli(E. coli)の相対存在量が、ケストース摂取群では12週後に有意に減少しました。一方、非摂取群ではE. coliに有意な変化は認められませんでした。

 

要約

ケストースの摂取は、PDAC患者の腸内で増加していたE. coliの有意な抑制に寄与し、腸内環境の改善が示唆されました。

 

今後の可能性

炎症関連菌の制御を通じた腸内環境の正常化は、膵臓癌治療の新たな補完的戦略としての応用が期待されます。

(Nakaoka, K et al, Nutrients, 2024)