百科事典

アガロオリゴ糖の有害菌の増殖抑制効果

背景

腸内細菌のバランスは健康維持に重要であり、特にRuminococcus gnavusは炎症性腸疾患との関連が報告されている一方で、Lactobacillus plantarumは整腸作用を持つ有用菌として知られています。新たなプレバイオティクスとして注目されるアガロオリゴ糖(AOS)は、腸内環境を選択的に調整する可能性を秘めています。本研究では、AOSがR. gnavusおよびL. plantarumの増殖に与える影響を検討しました。

結果

  • R. gnavus:AOS 0.1%および0.2%の濃度において、培養23時間後のOD660値(濁度)が有意に低下し、増殖が顕著に抑制されました。
  • L. plantarum:AOS 1%および2%の濃度では増殖に有意な影響は見られず、3%以上の濃度で初めて有意な抑制が観察されました。

要約

AOSは、炎症関連菌であるR. gnavusの増殖を低濃度で効果的に抑制する一方、L. plantarumの増殖には高濃度でのみ影響を及ぼしました。この結果は、AOSが腸内の有害菌を選択的に抑制し、有用菌を保持する可能性があることを示しています。

引用文献 Fujii T et al, Microbiology 2024