百科事典
プロバイオティクスとバナメイエビにおける血球酸化ストレス応答の変化
背景
バナメイエビ(Litopenaeus vannamei)の高密度・無換水養殖では、餌の残渣や排泄物由来の窒素化合物が水質を悪化させ、エビの生理機能や腸内細菌叢に影響を及ぼすことが課題となっている。水中に投与するプロバイオティクス(バチルス属細菌・乳酸菌)は、水中の窒素利用を介して水質を改善するとともに、エビの免疫応答にも影響することが報告されている。
結果
無換水条件で60日間飼育したバナメイエビを、対照区(I)、バチルス投与区(II)、乳酸菌投与区(III)、バチルス+乳酸菌投与区(IV)の4群に分けて血球の酸化的応答を調べた結果、血球のスーパーオキシドアニオン濃度(吸光度630 nmで測定)は乳酸菌投与区(III)で0.418±0.062となり、対照区(I:0.275±0.057)、バチルス投与区(II:0.299±0.019)、バチルス+乳酸菌投与区(IV:0.277±0.054)と比較して有意に高い値を示した(p<0.05、有意差記号a・b)。他の3群間には有意差は認められなかった。
要約
水中への乳酸菌単独投与は、バチルス投与や両者の併用投与と異なり、バナメイエビ血球の酸化的応答(スーパーオキシドアニオン産生)を特異的に高めることが示された。菌種によって宿主の自然免疫応答への影響が異なる可能性がある。
今後の可能
水中プロバイオティクスの菌種選択が、養殖エビの免疫関連応答の制御に応用できる可能性がある。ただし酸化的応答の亢進が常に有益とは限らないため、生存率・成長性能等の生産指標と併せた評価が今後期待される。
(Vega-Carranza AS et al, Animals, 2024)

