百科事典
ポストバイオティクスと周産期乳牛における乳量・乳成分生産量の改善
背景
乳牛の周産期(分娩前後の移行期)は代謝負荷が大きく、消化管内の細菌叢バランスが崩れやすい時期であり、その後の乳生産性にも影響する重要な時期である。ポストバイオティクスはプロバイオティクス由来の非生菌体・代謝産物であり、腸内の有用な常在菌にとって好ましい環境を整えて病原菌の定着を防ぐことで、消化管の健康維持や栄養吸収効率の改善に寄与すると考えられている。
結果
フリージア種経産牛12頭(初産6頭・経産6頭)を対照区(CT)・後生物質区(PC、Probisan-Ruminants-C®)・後生物質区(PR、Probisan-Ruminants®)の3群(各4頭)に分け、分娩30日前から後生物質を給与(分娩前8 g/日、分娩後15 g/日)し分娩後2ヶ月まで追跡した結果、乳量はPC区33.73 kg/日でCT区29.61 kg/日・PR区30.06 kg/日と比べて有意に高かった(p=0.044)。乳脂肪・乳蛋白質補正乳量(FPCM)もPC区34.30 kg/日でCT区29.26 kg/日・PR区29.12 kg/日より有意に高く(p=0.004)、乳脂肪生産量(PC区1.42 kg/日 対 CT区1.16 kg/日・PR区1.13 kg/日、p=0.002)、乳蛋白質生産量(PC区1.08 kg/日 対 CT区0.92 kg/日・PR区0.98 kg/日、p=0.014)もいずれもPC区で有意に高い値を示した。
要約
ポストバイオティクス(Probisan-Ruminants-C®)の給与は、周産期乳牛の乳量ならびに乳脂肪・乳蛋白質の生産量を有意に高める効果を示し、腸内環境の改善を介した栄養吸収効率の向上との関連が示唆された。
今後の可能性
ポストバイオティクスの給与が、周産期乳牛における乳生産性の維持・向上に貢献する可能性がある。ただし本試験は1群4頭と小規模であり、より大規模な集団での検証や、後生物質の種類・給与量の最適化についてはさらなる検討が期待される。
(Vicente F et al., Animals (Basel), 2024)

