百科事典
プロバイオティクスとナイルティラピアにおける皮膚粘液細胞の増加
背景
ナイルティラピア(Oreochromis niloticus)は世界的に重要な養殖魚種であり、皮膚や腸管粘膜のバリア機能を高めることは病原体侵入の防止や生産安定化につながる。宿主由来の常在細菌は病原菌への拮抗作用や消化酵素活性を持つことがあり、プロバイオティクス素材としての活用が検討されている。
結果
ティラピア腸管由来の分離株(C61株:PT1区、T70株:PT2区、いずれもBacillus近縁)を40日間給餌した試験において、皮膚組織の杯細胞(ムチン分泌細胞)を評価したところ、PT1区の皮膚杯細胞密度および被覆率(%)は対照区と比較していずれも有意に高い値を示した(密度:p=0.030、被覆率:p=0.033)。PT2区は対照区より高い傾向を示したが、統計的な有意差は認められなかった。なお成長性能には各区間で有意差はみられなかった。
要約
宿主由来のプロバイオティクス分離株(特にPT1株)の給餌により、ナイルティラピアの皮膚粘液細胞が増加し、粘膜バリア機能に関わる指標が改善する可能性が示された。腸内でのBacillus定着量は低かったことから、一過性の作用による可能性も考えられる。
今後の可能
皮膚・腸管粘膜のバリア機能強化を目的とした宿主由来プロバイオティクスの養殖現場での活用が期待される。ただし本試験は成長性能への効果は限定的であり、菌株の定着性や投与条件の最適化など、実用化に向けたさらなる検証が必要である。
(Abarra ST et al, Animals, 2025)

