百科事典

プロバイオティクスとバナメイエビにおける生存率の改善

背景

バナメイエビ(Litopenaeus vannamei)は世界の水産養殖生産の中心的な品目であり、年間生産量は400万トンを超える。高密度で行われる養殖(ハイパーインテンシブ方式)では、アンモニアや亜硝酸などの窒素性老廃物が蓄積しやすく、水質の悪化がエビの生理機能やストレス耐性、腸内細菌叢に悪影響を及ぼすことが課題となっている。近年、水中にバチルス属細菌や乳酸菌といったプロバイオティクスを添加し、腸内細菌叢や水質を介して宿主の健康を支える手法が注目されている。

 

結果

35日間の飼育試験において、無添加の対照区(I)の生存率は60±12.72%であったのに対し、バチルス属細菌(Bacillus licheniformis)を投与した区(II)では100±0.0%、乳酸菌(Pediococcus pentosaceus、Leuconostoc mesenteroides)を投与した区(III)では95±4.81%、両者を併用した区(IV)では95±4.81%となり、いずれの投与区も対照区と比較して有意に高い生存率を示した。

要約

水中へのバチルス属細菌および乳酸菌の投与は、バナメイエビの生存率を有意に改善した。論文の考察では、これらの細菌による水中窒素化合物の浄化作用や腸内細菌叢の変化が、ストレス耐性および生存率の向上に関与した可能性が示唆されている。

 

今後の可能

高密度養殖における生存率の改善は、生産性および経営の安定性に直結する重要な課題である。腸内細菌叢や水質を介したプロバイオティクス技術は、抗生物質に依存しない持続可能なエビ養殖管理手法としての応用が期待される。ただし、本結果は特定の飼育条件下での知見であり、実際の養殖現場への適用にはさらなる検証が必要である。

 

(Vega-Carranza AS et al, Animals, 2024)