百科事典
加熱殺菌L. plantarum FM8およびケストースとペンギンの腸内毒素遺伝子
背景
腸内環境の改善は動物の健康維持において重要であり、プレバイオティクスや加熱殺菌プロバイオティクスの組み合わせはその有効な手段とされています。しかし、ペンギンに対する応用研究は極めて限られています。本研究では、1-ケストースと加熱殺菌Lactiplantibacillus plantarum FM8の併用投与が若齢ペンギンの腸内病原性細菌に与える影響を評価しました。
結果
8週間の投与後、若齢(3歳未満)マゼランペンギンにおいて、Clostridium perfringens のα毒素をコードするplc遺伝子の量が有意に減少しました(P = 0.0078)。これは、腸内の病原性因子の抑制を示唆する重要な変化といえます。
要約
1-ケストースと加熱殺菌L. plantarum FM8の併用投与は、若齢ペンギンの腸内におけるClostridium perfringens α毒素遺伝子の発現を有意に抑制し、腸内の健康状態を改善する効果が認められました。
今後の可能性
腸内毒素因子の制御を通じた栄養介入は、動物園や水族館における若齢個体の健康管理手段としての活用が期待されます。
(Fujii T et al, JVMS, 2024)