百科事典
ケストースとベルーガの炎症マーカー
背景
近年、水族館で飼育される海洋哺乳類の健康管理の重要性が高まっており、腸内環境を整えることによる健康促進への関心も広がっています。クレアチニンは、腎機能や全身状態の指標として広く用いられており、炎症や代謝異常の兆候としても注目されています。本研究では、ケストースの摂取がシロイルカにおける血中クレアチニン値に与える影響を評価しました。
結果
8週間のケストース投与後、シロイルカの血中クレアチニン値は有意に低下し、基準値を超えていたレベルから正常範囲に近づきました。これは、ケストースの摂取によって全身性の炎症状態や腎負荷が軽減された可能性を示唆しています。(図中の線はシロイルカの基準値を示す)
要約
プレバイオティクスであるケストースの摂取により、飼育下シロイルカの血中クレアチニン値が有意に低下しました。この結果は、腸内環境の改善を通じて、全身性炎症や代謝ストレスが軽減された可能性を示しており、プレバイオティクスの応用が海洋哺乳類の健康管理に有効であることを示唆しています。
引用文献 Fujii T et al, JVMS 2024