百科事典
膵臓癌患者における腸内細菌叢の特徴
背景
膵臓癌(膵管腺癌:PDAC)は、腸内環境との関連が指摘されており、特定の腸内細菌の構成変化が疾患の進行や炎症状態に関与する可能性があります。腸内フローラのプロファイルを把握することで、疾患の理解や新たな治療戦略の構築に繋がると期待されています。本研究では、PDAC患者と健常者における腸内細菌叢の構成を比較し、特徴的な変化を明らかにしました。
結果
腸内細菌解析により、PDAC患者の腸内では以下のような顕著な細菌叢の変化が認められました
- 増加していた菌種
- Escherichia coli
- Streptococcus salivarius
- Enterococcus faecium
- 減少していた菌種
- Blautia wexlerae
- Bifidobacterium faecium
これらの変化は、膵臓癌に関連する腸内環境の異常を示しており、腸内細菌叢がPDACの病態に関与している可能性を示唆します。
要約
膵臓癌患者では、健常者と比較して腸内細菌叢に特有の変化が認められました。病原性菌の増加および有用菌の減少は、疾患の進行や炎症反応と関係している可能性があり、腸内環境の改善が新たな介入手段となることが期待されます。
引用文献 Nakaoka K et al, Nutrients 2024