百科事典
ケストースと膵臓癌におけるCRP(炎症マーカー)抑制効果
背景
膵臓癌(膵管腺癌:PDAC)は予後不良な悪性腫瘍であり、化学療法への反応性も限定的です。近年、腸内細菌叢が膵臓癌の進行や治療効果に関与していることが示唆され、腸内環境への介入が新たな治療補助アプローチとして注目されています。本研究では、プレバイオティクスである1-Kestoseの摂取が、膵臓癌患者における炎症マーカーや予後指標へ及ぼす影響を検討しました。
結果
12週間の介入試験において、1-Kestoseを摂取しなかった群ではCRP値が有意に上昇しました(p = 0.011)。一方、1-Kestose摂取群ではCRPの有意な変動は認められず(p = 0.327)、炎症の進行が抑制されたことが示されました。
要約
1-Kestoseの摂取は、膵臓癌患者におけるCRPの上昇を抑制し、全身性炎症の悪化を防ぐ可能性が示されました。本結果は、プレバイオティクスの炎症制御作用がPDACの支持療法として有効であることを示唆しています。
引用文献 Nakaoka K et al, Nutrients 2024