犬の輸送ストレスによる分子レベルの変化(糞便や血液中のバイオマーカー)を軽減する食事介入に関する研究は限られています。
過去の研究では、食事が犬のストレスや不安に影響を与える可能性が示されており、特にサッカロミセス・セレビシエ発酵産物(SCFP)は、急性ストレス期間中の炎症を軽減することが確認されています。
本研究では、輸送ストレスを受けた犬において、SCFP補給食が炎症メディエーター(COX-2およびMPO)に及ぼす影響を調査しました。
結果
研究の結果、SCFPを含む食事がCOX-2(シクロオキシゲナーゼ-2)およびMPO(ミエロペルオキシダーゼ)の遺伝子発現に影響を与えることが確認されました。
これらは、犬における炎症反応やストレスに関与する遺伝子です。
要約
SCFP補給食は、輸送ストレスを受けた犬の炎症メディエーター(COX-2およびMPO)の遺伝子発現に影響を与え、炎症を軽減する可能性があることが示唆されました。
今後の可能性
今後は、SCFPが他の炎症性メディエーターや免疫応答に与える影響の解明が求められます。
また、SCFPの最適な投与量や期間を明確にすることで、輸送ストレスやその他のストレス環境下での炎症軽減に向けた効果的な食事介入が期待されます。
引用文献 Wilson SM et al. J Anim Sci., 2023.