百科事典
胆汁酸代謝異常と犬の慢性腸症
背景
胆汁酸は宿主の代謝や免疫調節に重要な役割を果たし、腸内細菌叢と密接に関連しています。特に、一次胆汁酸が腸内細菌によって二次胆汁酸に変換される過程は、腸内環境や疾患発症に影響を与えることが知られています。過剰な二次胆汁酸は有毒となる可能性があり、糞便中の胆汁酸濃度を測定することで腸内環境の状態を把握することが期待されます。
結果
慢性腸症を抱える犬では、健康な犬に比べて糞便中の二次胆汁酸濃度が有意に低下していました。また、一部の犬で胆汁酸の吸収不良が認められ、これが慢性下痢や腸肝ループの乱れと関連している可能性が示唆されました。
要約
慢性腸症を抱える犬では、糞便中の二次胆汁酸濃度が有意に低下しており、胆汁酸代謝異常が消化管疾患と関連している可能性が示されました。
今後の可能性
糞便中の胆汁酸濃度の変化は、腸内環境や疾患の進行を評価する新しい指標として活用できる可能性があります。
引用文献:Blake AB et al, PLoS One, 2019