背景
犬の輸送ストレスによる分子レベルの変化(糞便や血液中のバイオマーカー)を軽減する食事介入に関する研究は限られています。
しかし、食事がストレスや不安に影響を与えることは過去の研究で示されています。
サッカロミセス・セレビシエ発酵産物(SCFP)は、急性ストレス時の炎症を軽減することが確認されており、本研究では輸送ストレスを受けた犬の糞便特性に対するSCFPの効果を調査しました。
結果
研究の結果、輸送ストレス後に対照群の犬では糞便中の乾燥物質割合が減少する傾向が見られましたが、SCFPを摂取した犬では安定していたことが確認されました。
これは、SCFPがストレス誘発性下痢を調整する可能性を示唆しています。
要約
SCFPを含む補給食は、犬の輸送ストレスによる糞便中の乾燥物質割合の変化を安定化させ、ストレス誘発性下痢の軽減に役立つ可能性があることが示されました。
今後の可能性
今後は、SCFPが輸送ストレス以外のストレス状況でも同様の効果を発揮するかを詳しく調査する必要があります。
また、SCFPがストレス関連の免疫や炎症バイオマーカーに与える影響や、その分子レベルでの作用メカニズムを解明することで、より効果的な食事介入が期待されます。
引用文献 Wilson SM et al. J Anim Sci., 2023.