背景
慢性下痢は猫によく見られる問題であり、特に多頭飼育環境では有病率が高くなる傾向があります。
本研究では、慢性下痢を有する猫の糞便微生物叢を健康な同居猫と比較し、さらにバチルス・リケニフォルミス発酵物(BLFP)の経口投与が下痢症状に与える影響を評価しました。
結果
BLFP治療群の猫は、治療前にさまざまな下痢症状を示していましたが、治療後に4匹で下痢の改善、2匹で嘔吐の減少が確認されました。
また、7日間のBLFP投与後、8匹中6匹で糞便状態が改善し、治療群の合計下痢スコアが1~5から1~4へと減少しました。
要約
BLFPの経口投与は、慢性下痢を有する猫において、下痢および嘔吐の症状を改善し、糞便状態を向上させる可能性があることが示されました。
今後の可能性
今後は、BLFPの最適な投与量や治療期間の検討に加え、腸内微生物叢の変化への影響を詳しく調査する必要があります。
また、他の腸疾患や異なる環境における猫への応用可能性についても研究を進めることが期待されます。
引用文献 Suchodolski JS et al. PLoS One., 2015.