百科事典

腸内細菌と犬の炎症性腸疾患

背景

炎症性腸疾患(IBD)は、犬の慢性胃腸疾患の主な原因の一つで、遺伝的要因、腸内細菌叢の乱れ、食事や環境要因が組み合わさって発症すると考えられています。しかし、IBDの発症に関与する宿主と腸内細菌叢の相互作用の詳細なメカニズムは未解明です。本研究では、健康な犬(n = 10)とIBDを抱える犬(n = 12)において、3週間の薬物療法前後の糞便微生物叢の変化を比較することを目的としました。

結果

IBDの治療を行う前後の犬では、健康な対照犬に比べて細菌多様性が有意に低く、腸内の微生物群集の構成も異なっていることが観察されました。

要約

IBDを抱える犬では、治療前後の腸内細菌叢が健康な犬と異なり、細菌多様性が低下していました。

今後の可能性

腸内細菌叢の異常とIBDの関係についてさらに研究を進めることで、腸内細菌叢を標的とした新たな治療法の開発が期待されます。

引用文献:Minamoto Y et al, Gut Microbes, 2015